訪問先で、ヘルパーのスケジューリングがうまく機能していないため、朝にヘルパーが炊いたお米を、夕方の訪問看護でおにぎりを作ってくる必用のあるお宅がある。
管理者として、このままで良いのかと、医療の専門職であるスタッフに、実にお願いしづらい事だと思っていた時、あるスタッフが
「おにぎりにぎるの、そんなに抵抗ないですよ。私はノンバーバルなコミュニケーション方法だと捉えていますから」
と言ってくれて救われた事がある。
精神科の訪問看護とは何なのか。本当にその人にとって必要な事が何なのか。道具は言葉だけではない、まなざしだけではない、おにぎりを作るという行為がコミュニケーションだと言い切ったスタッフに私は、心強いものを感じている。
おにぎりから伝わる人の温かみ、おにぎりをにぎりながらする会話。
子供の頃、基本的に内気だった私が、遠足で母親が作ってくれたおにぎりをほおばりながら、安らぎの気持ちになれた事を思い出す。
おにぎりをにぎるのが医療行為ではないと言われればそうなのかもしれない。
しかし、自分の行っている行動の意味を知るという事。何よりも精神科訪問看護を行う上で大切な事なのだと、私は考えている。